司法手続きにも少しずつですが情報技術の恩恵が広まりつつあります。
先日は一部民事訴訟でやり取りされる書類の電子化について触れましたが、それ以外にも、紙ベース
・・・(続きはこちら) 司法手続きにも少しずつですが情報技術の恩恵が広まりつつあります。
先日は一部民事訴訟でやり取りされる書類の電子化について触れましたが、それ以外にも、紙ベース対面ベースを主にやってきた弁護士の世界にデジタル化やリモート化の風が吹き始めているところです。
元々30年前に始まった電話会議システムの導入や、一部裁判所で試行されていた裁判関係書類の電子ファイルでの提出という形で、関係者が一堂に会さないと手続きが進められない不便さや郵便FAXといった旧来の通信手段からの脱却は図られていたのですが、それが加速したのはやはりコロナ禍により各地の裁判手続きが麻痺してからになります。
日本における新型コロナウイルス流行初年の2020年4月、予定されていた裁判期日はほぼ取り消しとなり、数か月にわたり再開されませんでした。一方で同年2月には一部裁判所でウェブ会議ソフトを用いた完全リモート期日が導入され(それまでの電話会議システムでは、どちらか一方の当事者が裁判所に出向き、もう一方が電話で参加するという不完全なリモート期日しかできませんでした)、地方・家庭裁判所における弁論準備期日での運用実績を踏まえて、2024年3月には簡易裁判所の手続や、なお当事者出席が必要だった口頭弁論手続にも対象が拡大され、極論弁護士は事務所にいながら訴訟対応を完結させることもできるようになったと言えます。
裁判所の外でも、裁判所の任命した破産管財人との面談のような訴訟に準じるような手続においては従前当事者本人と代理人弁護士が管財人事務所や弁護士会の会議室などで会合することが事実上必須だったところ、近年では同様にウェブ会議システムを利用し、場所的制限なく実行できるようになっています。
こうした変化により、紛争当事者や代理人弁護士は期日ごとに裁判所に移動する負担から免れ、より訴訟手続きを利用しやすくなり、また効率的に時間を使えるようになったと言えるでしょう。
ただ、弁護士業務の完全リモート化までにはまだ、法律相談を経て依頼を受ける過程を電話やメール、ウェブ会議で済ませていいものかという点で壁が1枚残っています。
もとより初対面の相談者と弁護士が信頼関係を築き、紛争に関し情報交換して想定されるリスクや弁護士が介入した場合の結果につき認識を共有するには、直接面談してお話をすることが望ましいとは言えます。そのため、弁護士は日本弁護士会連合会の定めたルールとして、一部を除く債務整理については直接面談を要し、原則電話等で代替できないことにしてきました。債務整理は多くの市民にとって身近で、手続きの結果による利害も大きいからです。
そのため、ほとんどの弁護士は今でも、自己破産や任意整理といった債務整理の相談を受ける場合には、少なくとも一度は面談してからご契約に至っているはずです。これは一部債務整理に携わることが可能な司法書士の方でも同様です。
もちろん、ご依頼に至る過程では何度も相談を繰り返すことはままありますから、その一部に電話やオンライン通話を用いることは可能です。お金を借りる時と違い完全に人と対面することなく契約することはできませんが、それでも弁護士のサービスを利用するにあたってのハードルを下げるのに現代の通信技術は役立っていると言えるでしょう。
債務整理以外の分野では直接面談の義務は科されていないため、交通事故や離婚、相続といった分野については弁護士は完全リモートでの全国対応が可能です。裁判手続がリモートで参加可能になったことから、日本全国どこの事件をお受けする場合でも、ご依頼人様に高額な出張費を請求せずに済むことも利用する側には嬉しいことでしょう。
当事務所は全分野で電話、メール、そして面談いずれの方法でもご相談を承っておりますので、お近くに事務所がない場合でもどうぞお気軽にご相談下さい。