市民が法的サービスを受ける機会を増やすためにいわゆる司法制度改革が始まってから20年が経ちます。
私はその流れの中でできた法科大学院3期生の出身なので改革
・・・(続きはこちら) 市民が法的サービスを受ける機会を増やすためにいわゆる司法制度改革が始まってから20年が経ちます。
私はその流れの中でできた法科大学院3期生の出身なので改革の恩恵を受けたとも言えるのですが、旧試験と新試験の併存する当時の環境は何もかもが手探りで、果たして大学院でやっている内容は試験に役立つのか、数年後実務に出てから生きてくるのか、教える側も教わる側も不安を勢いでなんとか吹き飛ばそうという空気がありましたね。
実務家教官による講義中の「君たちは制度改革の犠牲者だ」というコメントは今でも覚えています。私の卒業後、年を追うごとに下がる新試験の合格率と事実上旧試験の後釜である予備試験の人気上昇という事態を見るにつけ、早めに受かっておいてよかったと身に染みて思う次第です。
その後予定通り弁護士は増え、かつては地域に一人も弁護士がいないまたは一人しかいないゼロワン地域というのが70か所以上あったのが2か所まで減り、法律相談をしようにも下手をしたら県庁所在地まで行かないといけないといったことは減りました。私の故郷でも、お一人ですが弁護士が頑張って事務所を守っていらっしゃるそうです。
ただ、司法改革のスローガンでは弁護士が増えれば需要が掘り起こされて仕事も増えるという目論見があったのですが、現実には競争が激化する一方で弁護士の受ける仕事は増えた人数に比例しては増えず、企業に雇用される法曹資格者も期待したほどには広がらなかったため、司法試験受験者や大学の法学部受験者が激減するという気まずい現象が生じています。
事前の予想ほど需要が増加しなかったのは、細々した事件のニーズは隣接士業の方々が吸収なさったとか、そもそも法的紛争があるのに弁護士に依頼しない・できない主要な原因は近くに弁護士がいないからではなかったとかいろいろ考えられますが、法曹界の公的部門である検察や裁判所が呼応して規模を拡大することがなかったこともあるのでないかと思います。
これらの組織が人員を増加して対応できる事件数を劇的に増やさないなら、弁護士が処理すべき事件の総数が増えることもなく、需要増につながらないのは自明と言えるでしょう。もちろん、それぞれに体制の強化が図られたとは思いますが、裁判員裁判の運営など同時期の施策に人員と労力を割かれて一般の業務への対応能力はむしろ低下したとすら窺われます。
ここのところ一部の裁判所では、本来は書面提出後1~2週間程度で最初の書面審査を終えて動き出すべきところ、2カ月程度音沙汰なく経過する状況が慢性化しているようであり、それにより私どもの依頼者である手続利用者に想定外の負担が生じるリスクが生じています。
元々裁判所の取り扱いには地域差があり、同じ手続きでも利用時の費用が倍以上違うといったことはザラにあったのですが、それが解消したら今度は利用する裁判所によりかかる時間や費用以外の面での負担に地域ごとの格差が近年生じてきた印象があります。有利な手続き進行を求めて別の裁判所が管轄する地域に転居する、そのようないびつな行動が今後必要になってくるかもしれません。
万一そのような地域をまたいでの対応が必要になったとしても、当事務所は関東東海に多くの支店網と様々な専門分野に特化した弁護士を擁しておりますので、ご依頼人様には最善の選択を提案することをお約束します。